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「輸液投与の実際とリスク」研修会に出席して(2)

国立病院機構災害医療センター 薬剤科 薬剤師

平成24年度診療報酬改定において病棟薬剤業務加算が新設され、様々な団体、メーカー主催で業務に関わる研修や講演会が行われています。関信地区国立病院薬剤師会では業務を推進していく上で必要とされる輸液投与に関する知識とスキルを身につけるための研修会「輸液投与の実際とリスク」が開催されました。平成25年4月より当院でも病棟薬剤業務が開始される予定であり、輸液の知識、手技の習得のためにもと思い、研修に参加させていただきました。

今回の研修は3つセクションに分けられて講義、実習、演習の形式で進められました。

①輸液システムについて・投与するには何が必要か。
輸液ポンプ・シリンジポンプの構造、使用方法、輸液セットの種類の違いやそれぞれの器材の特徴などについて説明があり、各自に配布された輸液セットを実際に触り、その違いについて確認しました。 実際に器材に触れることで、器材の使い分けや素材の違いによるセットの選択の必要性をイメージしやすかったです。

②注射剤投与時の注意
注射・点滴の観察項目ではアナフィラキシー、血管痛、静脈炎、血管外漏出、皮膚のかぶれの5項目について講義があり、それぞれどのような状況で引き起こされやすいか、回避するにはどうすればよいか、発現時の対処法と、起こりやすい薬剤等について説明されました。
投与速度については滴下数の算出、滴下速度に影響する因子等について講義がありました。
輸液セットの選択では輸液器材と薬剤の相互作用について、吸着、収着、溶出など基礎的なことの説明でしたが、復習も兼ね知識の必要性を再認識しました。
投与ルートの工夫では輸液フィルターや三方活栓使用時の注意事項の説明があったあと、実際に輸液セットを用い、プライミングの実習を行いました。慣れない操作で説明を受けた直後でも手順を間違えたり見落としがあったりと、普段行わない業務の難しさを感じました。
輸液ポンプ・シリンジポンプの注意では医療用ポンプの種類と特徴について、ポンプの構造、送液原理、アラームの種類等について説明があり、実際に操作を行いました。また、インシデントと対策ではアラームのなっている状態からの適切な対処方法の実習と、間違った手技で起こる事故を再現し、正しい知識と手技の必要性を改めて感じました。今まで病棟でポンプを目にすることは日常的にありましたが、実際に操作を行う機会はなかったため、操作にはかなり手間取りました。実際に病棟業務で薬剤師がポンプのセットを行うことは現実的ではないかもしれませんが、流量のチェックや正しくセットされているかの確認を行うためにも、正しい知識・手技と危険性についても理解しておくべきだと改めて思いました。また、ポンプの関わる医療事故についても紹介があり、間違ったアラームの解除法やセット方法でおこる事故の再現では、ポンプの危険性を目の当たりにし怖さを感じました。

 ③演習
課題が与えられ、1グループ5人で、実際に輸液、輸液セットを用い正しいセットの仕方、側管からの薬物投与について実習、ディスカッションを行いました。投与薬剤に適切な素材の輸液セットの選択からプライミング、投与速度からの滴下数の計算、滴下速度のセット、ボーラス投与前後のフラッシュの有無、フィルターの有無、ポンプ使用の有無、ポンプのセット等、講義、実習でやってきた内容を復習しつつ、グループでディスカッションしながら実際に操作を行いました。実際に病棟の看護師が日常行っている滴下の計算、設定も、慣れないと時間がかかると改めて感じましたし、慣れない操作に戸惑うことも多かったです。

講義の中には基礎的なものも含まれていましたが、復習も兼ねて改めて知識の必要性を感じ、また、新しい知識の習得もできました。実習では実際に器材に触れたり、操作することで、より業務に生かしやすい内容の研修だと感じました。
病棟薬剤業務加算では「薬剤の投与にあたり、流量又は投与量の計算等の実施」を行うことが必要とされ、今回の研修では業務を行う上で最低限必要とされる知識・手技の習得ができたと思います。しかし、実際の病棟業務ではもっと多くの知識が必要であり、今後も更に研修や勉強をしなければならないと痛感しました。
病棟で薬剤師がチーム医療に貢献することは、薬剤師としてのやりがいや責任感をより強く感じます。今後はより幅広く、薬剤師の専門性を行かせる業務を行うためにも様々な内容の研修をおこなっていただけると嬉しいです。

最後に、今回の研修でご指導いただいた先生方、また、同じグループで参加した他施設の先生方にはいろいろ教えていただき、ありがとうございました。この場をかりて御礼申し上げます。

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